再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
父に手術を受けるよう説得してくれた英介さんのおかげだ。
もしもあの日、彼がお見舞いに来てくれなかったら父は手術を拒み続けていたかもしれない。そう思うと、英介さんには本当に感謝している。
それに、あのとき偶然にも再会できたから私たちは恋人になることができた。
先日、交際一ヶ月を迎えた私たちは以前よりもぐっと距離が縮まり、お互い名前で呼び合うようになったし、私は少しずつ彼への敬語もなくしている。
「……ヤバいな。緊張してきた」
もう少しで病院の建物が見えてくるところまで来たとき、英介さんが大きく息を吐き出した。
「俺たちのこと佐波さんに認めてもらえるかな」
「大丈夫だよ。英介さんは父のお気に入りだから」
「それとこれとは話が別だ。お前に娘はやらん!って佐波さんに投げ飛ばされるのだけは勘弁だな」
彼の言葉に思わずくすっと笑ってしまう。そんな私をやや不満そうな表情で英介さんがちらっと見た。
「笑い事じゃないぞ。本当に緊張してるんだから」
はぁと溜息をこぼす英介さん。
でもすぐに気持ちを切り替えたのかきりっとした表情を見せる。
「千晶と交際していることを佐波さんに許してもらえるまで何回も交渉するつもりだから」
「そんなに心配しなくてもいいと思うけど」
英介さん、考えすぎじゃないかな。