再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
大きな被害は出ていないので父には伝えないつもりでいたが、英介さんと話し合った結果やはり伝えた方がいいだろうということになった。
「やっぱり我が家はいいな」
自宅に入るなり父は退院のよろこびを噛みしめるように呟いた。
ソファに座った父がリビングをぐるりと見回す。そして違和感を覚えたようで首を傾げた。
「千晶、花が枯れているぞ。お前にしては珍しいな」
リビングボードの上にある花瓶を見ながら父が不思議そうに言った。
そこには私が買ってきた季節の花がいつも飾られていて、枯れてしまってもまた次の花を飾るようにしていた。
だから常にきれいに咲いている花が飾られているのだけれど、珍しく私が花を枯らしていることに父は気付いたようだ。
「あ、うん。花ね……」
曖昧にごまかす。
しばらく加賀美さんの家にいるので花の管理ができなかったのだ。
「佐波さん。話したいことがあるのですが、少しお時間いいですか」
ソファの下に敷いてあるラグに正座で腰を下ろした英介さんが改まったように口を開く。
いよいよ父に報告をするのだろう。
私も彼の隣に腰を下ろして、ソファに座る父を見つめた。
「おいおい、ふたりしてどうした」
私と加賀美さんを交互に見た父が困惑したような表情を浮かべている。
やがてなにかを察したのかハッとしたような顔を見せた。