再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「えっと……どういうこと?」
私を置いてけぼりにして会話を進めるふたりに割って入るように尋ねた。
すると英介さんの手が私の頭にぽんと乗っかる。
「ごめんね千晶ちゃん。佐波さんに合わせてちょっと演技をしていただけなんだ」
「演技?」
今度は父に視線を向けると、いたずらが成功した子どものような笑顔を返される。
「千晶にも話しただろ。お前の結婚相手の男の条件は父さんよりも強くて頼りになって、かっこいい男だ。父さんが厳しく当たってもそれで怯むような男は認めない。それでも挑んでくるような男じゃないとな」
病室でそんな話をしたのはもちろん覚えている。
ということはもしかして父は英介さんを試すためにわざと厳しい言葉を投げつけていたのだろうか。
「英介さんも気付いてたんだ」
ちらっと隣を見ると「まぁね」と呟いた彼が申し訳なさそうに笑った。
「ひどい。ふたりして私のこと騙して」
「騙してはいないだろ」
私の呟きにすかさず父が答える。
でも騙されていたようなものだ。私だけ父が本当に英介さんに敵意を向けていると思って焦っていたのだから。
なんだか悔しいっ!