再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


その日の仕事中もなんだか気分が優れず、午前中に一度吐いてしまった。

食欲もなくて、病気だろうかと不安になる。しっかりと病院で診てもらった方がいいのかもしれない。

そんな話をしながら透子といつもの広場でお昼休憩を取っていると、隣に座る彼女がなにかに気付いたようにハッとした表情で私を見る。


「ねぇ千晶。最後に生理がきたのっていつ?」

「えっ、どうして?」


生理? いつだったかな。

頭の中で思い出しながら、今月の予定日をだいぶ過ぎていることに気付いた。


「もしかして……」


透子と目が合うと、彼女が静かに頷く。


私、妊娠してる?


お腹にそっと手を当てたまま固まってしまった私の背中を透子が優しくぽんと叩いた。


「とりあえず検査薬買って自分で調べてみなよ」

「うん、帰りに寄ってみる」


午後も軽い吐き気を感じつつ、なんとかその日の業務をこなして仕事を終えた。

帰宅途中で妊娠検査薬を購入。英介さんの自宅マンションに戻ってからさっそく検査をしてみると判定窓にはくっきりと二重線が浮かんだ。


「やっぱり妊娠してるんだ……」


病院で診てもらわないと確定ではないのかもしれない。それでもお腹の中に小さな命が宿っているのだと思うとそわそわ落ち着かなくなる。

しばらくして、うれしい気持ちがじわじわと湧いてきた。


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