再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「待った。どこに行くか教えて」
ぴくっと千晶の華奢な肩が跳ねる。振り返った彼女がぎこちない笑顔を浮かべた。
「ちょっとそこまで」
「そこまでって?」
「えっと、駅方面に用事があって」
「どんな用事?」
なんだか尋問のようになってしまった。千晶が困ったような表情で俺から視線を逸らす。
「びょ、病院に行ってくる」
「病院?」
やっぱりどこか悪いのか。
「それなら車で送っていくよ。鍵取ってくるからちょっと待ってて」
千晶の腰から腕を離して、リビングに戻るため背中を向ける。けれど、なにかを察して振り返ると千晶が玄関のドアノブに触れていた。思わずため息がこぼれる。
「ひとりで行くなよ。ちゃんとそこで待ってて」
「はい……」
俺を置いてこっそりと出掛けようとしていたらしい。千晶らしくない行動に、やはりなにか隠し事をしているのだと確信する。
すぐに鍵を取って戻ってくると千晶は玄関で待っていた。
ふたりで家を出て駐車場に向かう。車に乗り込み、行先をナビに入力するため病院名を聞こうとしたが千晶が指定したのは駅前のコインパーキング。
これから行く病院には駐車場がないらしいのでそこに車を停めて歩くらしい。
病院の前まで送っていくと行ったがコインパーキングでいいと強く言われたので、とりあえずそこを目指して車を走らせる。