再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
その後もお母様から英介さんの甘えん坊エピソードをたっぷりと教えてもらった。
子供の頃の英介さんはお母様が大好きだったのだろう。そして、お父様、三人のお姉様からも大切に見守られながらすくすくと成長したのだと思う。
英介さんがいつも優しいのはご家族からたっぷりと愛情を受けてきたからなのかもしれない。
比べて私は……。
思わず自分の生い立ちと比較してしまい、胸の中にもやもやとしたものが広がっていく。
父からはたっぷりと愛情を受けて育った。でも私は母親の愛情を知らない。
捨てられてしまったあの日から母とは一度も会っていないし、一緒に暮らしていた頃の記憶もほとんどない。顔すらも思い出すことができなかった。
覚えていることといえば家を出ていく母の冷たい背中と、それを泣きながら引き止めたときの気持ち。
そんなことは思い出さなくてもいいのに……。
昼食を終えてからもしばらくは話が弾み、気が付くと午後三時を過ぎていた。
駐車場まで出てきてくれた両親と司さんに見送られて英介さんの実家をあとにする。
思わずふぅと息がこぼれてしまうのは無事に挨拶を終えたことへの安堵の気持ちと、お母様の美味しい手料理を食べ過ぎてしまってお腹が苦しいから。
最近はつわりのせいであまり食べられなかったけれど、今日は久しぶりにしっかりと食べることができた。