再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


「うるさくなんてなかったよ。みんな仲良しなんだね。あの中で英介さんは育ったんだなって思うと羨ましかった」

「羨ましい?」


私の髪を撫でていた英介さんの手がぴたりと止まった。


「私にはお父さんしかいないから。賑やかな家族に憧れているのかも」


寂しかったわけじゃない。父からの愛情はたっぷりと受け取っていたから。

それに近くには叔母家族も暮らしていて、父が仕事でいないときは預かってもらっていたからひとりぼっちになることはなかった。

それでもやっぱり賑やかな家族には憧れていて……。


「それに、本音を言うとちょっと不安なの」


俯いて両手をぎゅっと握りしめる。


「私は母親を知らないから。ちゃんと子育てできるのかなって」


もちろん妊娠がわかったときはうれしかった。でも次第に不安も出てきた。

自分の中だけで解決させようと思っていたのに、つい本音がぽろっとこぼれた。

もしかしたら英介さんを困らせているかもしれない。

やっぱり言わなければよかったかな。さっきの自分の言葉を取り消したい。

爪が食い込むほど強く両手を握っていると、それを優しく包むように大きな手が重なった。


「俺もいるだろ」


俯いていた顔を上げると、優しく微笑む英介さんと目が合う。


「子供を育てるのは千晶ひとりじゃないよ。俺だって親なんだから、千晶が全部ひとりで背負い込もうとするな」


人差し指でおでこを軽くピンと弾かれた。


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