再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
のんびり歩いていると、どこからか「あっ!」と大きな声が聞こえた。
振り向いた先にいるのは小学校高学年くらいのふたりの男の子。うれしそうにこちらに駆け寄ってくるのが見える。
もしかしてあのときの子たちだろうか。
目の前まで来たふたりの顔を見てすぐに思い出した。
「この前は風船を取ってくれてありがとうございました」
「ありがとうございました」
男の子たちが礼儀正しくぺこりと頭を下げる。
以前この場所を英介さんと歩いていたとき、木の枝に風船を引っ掛けてしまった男の子たちだ。
確か、英介さんに抱っこされて私が風船を取ったんだよね。それでそのあと転んでしまって……。
桜がすべて散った頃。英介さんと再会したばかりで、まだ付き合う前だった頃のことを懐かしく思い出す。
一方で英介さんは男の子たちを見てもまだピンときていないようで、私と比べて反応が鈍い。
もしかして覚えていないのかな?
「風船……」
英介さんがぽつりと呟く。
しばらくすると「そういえば」と、ハッとしたような声を上げたので、ようやく思い出したようだ。
英介さんは膝に両手をついて高い背を屈めてから、男の子たちに視線を合わせてにこりと微笑む。
「今日はなにも枝に引っ掛けてないだろうな」
冗談めかしてそんなことを言う英介さんに男の子たちが楽しそうに反論する。