再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「引っ掛けてないよー」
「今日は大丈夫」
それを聞いた英介さんは「そうか」と頷いて、両手で男の子たちの頭をポンと撫でた。
「ここで遊んでるの?」
今度は私が男の子たちに声をかけた。
「うん。いつもこの広場で遊んでる。向こうに学校の友達もいるよ」
「お姉ちゃんたちが歩いてくるのが見えて、あの人たちだ!って思い出したからここまで走ってきた」
広場に視線を向けると男の子たちと同じくらいの背丈の子たち数人が遊んでいる姿が見える。男の子たちもあの輪の中に入って遊んでいたけど、こうして私たちのところへ挨拶に来てくれたのだろう。
じゃあねー!と、大きく手を振って男の子たちは友達のところへと戻っていった。
「英介さん、思い出すの遅いよ」
思わずくすっと笑ってしまう。
私は男の子たちの顔を見てすぐに気付いたのに英介さんが思い出したのはその少しあと。忘れているのかと思った。
「だよな。すっかり忘れてた」
やっぱり忘れていたらしい。英介さんが恥ずかしそうに笑った。
木の枝に引っ掛かっている風船を取ってあげるなんて私にとっては鮮烈な出来事で、すぐに記憶から引っ張り出すことができた。
でも、もしかしたら英介さんにとっては日常生活のほんの一部の出来事でしかなかったのかもしれない。