再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
困っている人を見つけると、手を差し伸べるような優しくて親切な人だから。
以前、電車の中でおばあさんに席を譲っていた英介さんを思い出す。それすらも彼はもう覚えていないのでは?
私だったら誰かを助けるなんて特別な出来事は忘れないし、すぐに思い出すことができる。でも、英介さんにとって人助けはあえて覚えておく必要もないほど些細な出来事なのだろう。
きっと英介さんは覚えていないけれど、彼に助けられて感謝している人はたくさんいるんだろうな。
そう思ったらますます英介さんは素敵だなって思うし、好きという気持ちが溢れてくる。
彼の横顔を見つめながら自然と頬が緩んだ。そんな私を英介さんが不思議そうに見てくる。
「どうした?」
「ううん、なんでもない」
英介さんの腕に両手を絡めてぎゅっと抱き着いた。
「私、英介さんのこと大好きだなって思った」
「それなら俺はその何倍も千晶が好きだよ」
「そこで張り合わなくてもいいのに」
くすっと笑ってしまう。
すると英介さんがふと真面目な表情を見せた。
「本当に俺の方が千晶を想う気持ちは強いよ」
その視線が広場で遊んでいる子供たちへと向かう。