再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


その日、仕事を終えて自宅に戻る前にスーパーに立ち寄ることにした。

夕食の献立を考えながら食材を選ぶ。

英介さんは今日も帰りが遅いそうだ。昨日は午後十一時まで庁舎に残って仕事をしていたそうで、家に帰ってきたのは日付が変わりそうな時間帯。

今日はそこまで遅くならないといいけれど。

それでも英介さんは疲れた素振りは一切見せず、妊娠中の私を気遣ってくれる。

そんな彼のために、つわりも落ち着いて体調が戻った今は夕食作りに力を入れている。

英介さんに栄養のあるものを取ってもらいたいし、それはお腹の中の赤ちゃんにも言えること。

夕食の献立も決まり、必要な食材をカゴに入れていく。

野菜コーナーで半分に切って売られているかぼちゃを手に取った。どれが美味しそうか吟味していると、すぐ近くでカシャッとスマートフォンで写真を撮ったときのようなシャッター音が聞こえた。

スーパーではあまり聞かないような音だ。不思議に思って顔を上げるけれど写真を撮るような素振りを見せている人は見当たらない。

空耳だったのかな。

あまり気にせず次はお肉コーナーに向かう。そこでも選んでいるとカシャッとシャッター音が聞こえた。

けれど写真を撮っているような素振りの人はいない。

気のせいだと思いたいけど、さすがに二度も自分の近くで同じ音が聞こえるのはおかしい。


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