再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


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それから数日が経ち、季節は八月になった。

妊娠も十三週に突入。体のトラブルなどもなく、私のお腹の中で順調に赤ちゃんは成長している。

心なしかお腹がぽっこりと出てきたような気もするが、食べ過ぎて少し太っただけかもしれない。

英介さんも赤ちゃんの誕生を待ちわびているようで、毎朝お腹に向かって声をかけている。

そろそろ性別もわかるようになる頃らしいが、私も英介さんも男女どちらでも大歓迎。性別は聞かずに、生まれるときまでそのドキドキを取っておこうなんて話も最近はしている。

そんな風に赤ちゃんの誕生を楽しみに思う一方で、やはり不安もまだ残っているのが事実。

予定日は二月でまだまだ先なのに赤ちゃんがお腹の中で成長していくにつれて、この子が生まれたあとのことを考えては落ち込んでしまう。

私は、お母さんになれるのだろうか。

子供を産むと必然的に母親にはなれる。でも気持ちの面ではどうだろう。

母親として子供に愛情を注ぐことができるのか、母親らしい振る舞いができるのか。母の背中を見て育っていない私に母親が務まるのか、子育てができるのか。

いったん不安になるとぐるぐると考え込んでしまいドツボに嵌まるのが私の悪いところだ。

こういうときは英介さんに相談するように言われているけど、どうしても正直に胸の内を吐き出すことができない。


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