再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「こわかったよな。もう大丈夫だから」
奥二重の目元を優しく細めて優しく微笑む英介さん。
――そのとき、不思議な感覚がした。
『大丈夫?』
ふと脳裏に過ったのは高校生の頃、痴漢被害に合っていた私を助けてくれた大学生くらいの男の人の顔。
一瞬彼が、目の前の英介さんと重なって見えて……。
「千晶のあとをつけていた男たちは?」
なにかを思い出しかけたものの、英介さんの声が聞こえてハッと我に返る。
「わからない。もうどこかに行ったのかも」
「そうか。とりあえずここを離れよう」
英介さんが私の手をぎゅっと握った。狭い裏道を出て路地に戻る。あたりを見回してみたが私のあとを追っていた男たちの姿はない。
「あとをつけられた他になにかされなかった?」
そう尋ねる英介さんの視線は時折周囲を警戒している。
「眼鏡の人に声を掛けられた。話を聞いてほしいって」
「話?」
「でも、それを聞く前にこわくて逃げちゃって」
「それでいいよ」
手を繋いでいない方の英介さんの手がふわりと私の頭を撫でた。
今になってみるとシルバーフレームの眼鏡をかけた男性が、私になにを話したかったのかが気になる。
話を聞いてほしいと、必死に声をかけてきたけれど。
「見つけた。佐波千晶さん」
ふと背後から声がして、英介さんと私の足が同時に止まる。