再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
ふたりは視線を私たちに戻すと大柄な男性が口を開く。
「雪代晶子さん。株式会社YUKISHIROの代表取締役で、私たちの上司です」
晶子……。
聞き覚えのある名前に心臓がどきっと嫌な音を立てた。
「YUKISHIROといえば最近CMでよく聞くな。美容関係の会社だったか?」
英介さんに尋ねられて、眼鏡の男性が答える。
「はい。関東を中心に美容室やネイルサロン、エステサロンなどと展開しています。その雪代社長が千晶さんに会いたがっているので、私たち秘書でどうにかして社長の願いを叶えてあげたいと思いました。それで千晶さんのことを調べてあとをつけ、今回ようやく話しかけてみることにしたんです」
もしかして私が気が付かなかっただけで四月からずっとあとをつけられていたのだろうか。それに、この前スーパーで買い物中に近くから二度もシャッター音が聞こえたのも彼らが私のことをこっそりと撮っていたのかもしれない。
「千晶さん」
眼鏡の男性の視線が英介さんの背中に隠れている私に向かう。
「雪代社長と会っていただけないでしょうか。社長は過去の行いを悔いています。謝罪の場を与えてください。どうか、よろしくお願いいたします」
深々と頭を下げる眼鏡の男性。大柄な男性も一緒に頭を下げる。けれど……。