再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


優しいキスに不安な気持ちが解けていく。

唇が離れてからも英介さんは私の気持ちが落ち着くように髪を撫でてくれた。そうされているうちに自然と瞼が重くなって再び眠りに落ちた。



その日の夕方は妊婦検診の予約を入れていた。

仕事を終えて職場を出たあとで産婦人科に向かう。

赤ちゃんは今日も順調。母の秘書たちに追いかけられたときに走ってしまったことを心配していたけれど、その影響はどこにもなくて安心した。

先生が性別を見てくれようとしたけど足をきっちりと閉じているようでこの日はまだわからなかった。

それからスーパーに立ち寄って帰宅する。

食材の入った袋とバッグをとりあえずイスの上に置いたが、乗り切らずにバッグだけ落ちてしまった。中身がすべて飛び出てしまう。

慌てて拾い集めているとハンカチを見つけて手に取った。

以前、仕事のお昼休みでよく利用する定食屋でグラスを倒して水をこぼした男性がいた。その人に渡したものだ。

どうして私の手元に戻ってきたのかというと、あのときの男性が私のあとをつけて定食屋に入店していた母の秘書だったから。

一度も目が合わなかったので顔がよく見えなかった。気付かないうちに接触していたようだ。

その事実をつい先日知り、渡したハンカチも戻ってきた。


< 188 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop