再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「加賀美さんは彼女いますか?」
私も聞かれて答えたのだから加賀美さんにも同じ質問をしていいはず。
彼の恋愛事情については前に一度だけ聞いたことがある。
うちで食事をしているとき、なにかの話の流れで父が『加賀美くんは彼女はいるのか』と尋ねていた。
キッチンで洗い物をしながら加賀美さんの返答に耳を傾けていたのだが、確かあのときは『彼女がいたら佐波さんの家にこんな頻繁に遊びに来ませんよ』と笑っていた気がする。
その会話を聞いたのは加賀美さんが北海道に異動になる前だから三年くらい前。当時は彼女がいなかったみたいだけど今はどうなのだろう。
たぶん彼女いるんだろうなぁ。
だって加賀美さんのように見た目もよくて性格も素敵で、その上エリートな職業に就いている男性が目の前に現れたら誰だって恋に落ちちゃうはず。
きっと加賀美さんにお似合いの美人で聡明な彼女がいるんだろうな。
「俺もいないよ」
けれど加賀美さんから返ってきたのは予想外の返事だった。
「いないんですか、彼女」
「いないよ。千晶ちゃんと初めて会った日から今日まで誰とも付き合ってない」
私と加賀美さんが初めて出会ったのは私が高校二年生のときだから七年前。そんなに長い期間彼女がいないなんて。
「信じられない。加賀美さんイケメンなのに」
「イケメンかな、俺」
加賀美さんがくすっと笑った。