再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


父は先月まで警察署に勤務していた警察官だった。

正義感が強く、笑顔がトレードマークの陽気な人。

〝警察官は俺の天職だ〟という言葉が口癖なくらい仕事を生きがいにしているような人だった。

けれど定年と同時に病気がわかり即入院。それからは人が変わったように暗い表情ばかりを見せるようになり、口数も減ってしまった。


「また来るね」


ベッドの上でいじけたように布団にくるまる父にそう言い残して病室を後にした。

廊下に出てしばらく歩いたところでふと力が抜ける。壁によりかかりながらずるずると座り込み、膝を抱えてうつむいた。


「どうしたらいいんだろう」


これ以上父をどう説得したら手術を受けてくれるのか。最近の私はそればかりをずっと考えている。

父は自分の命はもう長くないと思い込んでいる。そうではなくて、手術をすれば治るのだと主治医の先生が丁寧に説明してくれたのに信じようとしない。

このままでは病気が進行して、それこそ命を失ってしまうかもしれないのに。

そうならないためにも手術を受けて欲しい。

父がいなくなったら私はひとりぼっちになってしまうから。

父子家庭で育った私には母親と呼べる人がいない。

男手ひとつで育ててくれた父にこれからはたくさん親孝行しようと思っていた。まだまだ長生きしてほしいのに、このまま手術を受けなければ父はもう……。


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