再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「すみません、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げると、加賀美さんの片手が私の頭をふわりと撫でてすぐに離れた。
再びハンドルを握った彼の手を思わずじっと見つめてしまう。
今、触られたよね?
でもこわいと思わなかった。
そういえばカフェレストランを出たあとも腰を引き寄せられて加賀美さんと体が密着した。けど、あのときも不快感や拒絶反応が起きなかった。
男の人に触れらたのにどうしてだろう。
トラウマよりも今は、知らない人物に尾行されたり待ち伏せされたりといった恐怖が強いからだろうか。
しばらく車を走らせて到着した加賀美さんの自宅は1LDKのマンション。
十畳ほどのLDKと扉で仕切られた六畳ほどの洋室がある。
紺色のカーテンがかかった窓の向こうにはバルコニーもあるようだ。
白を基調としたリビングにはテレビとダイニングテーブルとイス、それにソファしか置かれていない。物が少ないので部屋の余白がだいぶ余っていてすっきりとした印象だ。
隣の洋室は寝室として使っているのかもしれない。少しだけ空いている扉からベッドが見えた。
「狭い部屋だけどくつろいで。今飲み物持ってくるから」
「いえ、お構いなく」
スーツの上着を脱いでイスの背もたれにかけた加賀美さんがキッチンに向かう。