再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「――大丈夫?」
頭上から聞こえた声に気付いてはっと顔を上げる。
そこには黒っぽいスーツを着た男性が立っていて、心配そうに私を見ていた。
すらりと背が高く、びしっと着こなしたスーツの上からでもわかるほど引き締まった体躯。艶のある黒髪は後ろに軽く流してセットされている。すっきりとした輪郭にやや薄い唇、すっとしたきれいな鼻筋。
きりっとした顔立ちをしているが、奥二重の目元がふんわりと優しい印象を与えていて……。
この人、もしかして。
「加賀美さん⁉」
目の前の人物に気付いて、勢いよくその場に立ち上がった。
「こんにちは、千晶ちゃん」
目尻をくしゃっとさせて微笑んだ彼の名前は加賀美英介さん。
数年前に父と同じ警察署に勤務していた男性で、二十四歳の私よりも六歳上の三十歳だ。
「お久しぶりです」
加賀美さんに会うのは約二年振り。
だからなのか顔を見てもすぐに気が付けなかったし、なにより彼がここにいるのが信じられなかった。
「もしかしてこっちに戻ってきたんですか?」
「そう。今月から本庁勤務になったんだ」