再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「ごめん。ちょっと待ってて」
私に一声かけてから迷うことなく颯爽と男の子たちのもとへ向かう。そのあとを私も追いかけた。
「どうしたの?」
加賀美さんが声をかけると、男の子のひとりが木の枝を指差す。
「手を離したらさっき貰った風船が飛んでいって。あそこに引っ掛かって落ちてこないんだ」
男の子が指を差した先を辿ると、木の枝に青色の風船が引っ掛かっている。
もうひとりの男の子が同じものを持っていて、どうやら駅前に新しくオープンした施設の来場記念品のようだ。
「お兄ちゃん取れる?」
男の子に見つめられて加賀美さんが苦笑する。
「さすがに俺もあそこまで手は届かないかな」
そう言って手を伸ばす加賀美さん。踵を上げて背伸びをしても届きそうにない。
「お兄ちゃん背が高いからジャンプしたら届くかもよ」
男の子にアドバイスされて「ジャンプするの?」と、加賀美さんは困った顔を浮かべながらも言われた通り飛び跳ねて風船に手を伸ばした。
けれど、あと少し届かない。
この中で断トツに背が高い加賀美さんでも取れないのだから私も手が届かないだろうし、男の子たちにも無理だろう。
なにか踏み台になるようなものがあれば加賀美さんなら取れるかもしれないけど、周囲にそんなものはなさそうだ。