再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
男の子たちは諦め切れないようでぴょんぴょんとジャンプしながら風船を取ろうとしている。
すると、それを見ていた加賀美さんの視線が私に向かった。
なにかいい案でも思い付いたのだろうか。彼が両手を広げる。
「千晶ちゃん、抱っこしてもいい?」
「えっ、抱っこ⁉」
理由がわからず驚く私に加賀美さんが説明する。
「俺が千晶ちゃんを持ち上げるから手を伸ばして風船を取ってほしいんだ」
「私がですか?」
「できそう?」
確かにそれなら木の枝に引っ掛かっている風船に手が届くかもしれない。
「でも、それはちょっと……」
周囲には人が歩いている。彼らの視線を受けながら体を持ち上げられるのは恥ずかしいかもしれない。
それになにより体に触れられて平気でいられるだろうか。
手や髪に触られたときとは違い、抱っことなれば密着する場所が多くなる。もしかしたら加賀美さんでもこわいと思ってしまうかもしれない。
「それじゃあ千晶ちゃんが俺を持ち上げる?」
「えっ、いえいえ。それは無理です」
首をぶんぶんと横に振ると「冗談だよ」と、加賀美さんが笑う。
私に近付いてくると目の前でしゃがんだ彼が私の太ももあたりに両手を回して掴んだ。