再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「俺の方こそ急に手を掴んだりして悪かった」
加賀美さんが立花くんの手を離して謝罪する。
強張っていた立花くんの表情がほっとしたように和らいだ。
「じゃ、じゃあ俺はこれで。佐波、また会社で」
「うん。またね、立花くん」
私に手を振り、加賀美さんにぺこりと頭を下げた立花くんがくるんと背中を向ける。足早に改札へと消えていった。
どうしよう。このまま加賀美さんのことを私の彼氏だと誤解させたままでいいのかな。今度会ったときしっかりと真実を伝えないと。
「それで、彼は誰?」
立花くんの背中を見送っていると、隣から加賀美さんの声がした。
「同期です。立花くんって言って」
「どうして俺を千晶ちゃんの彼氏だと勘違いしてるの?」
「それは……」
朝一緒に会社に来るところを見られて、加賀美さんが私の彼氏だと間違われてしまったことを打ち明けた。
「なるほど、そういうことか」
「否定するタイミングがわからなくて。すみません」
「謝らなくていいよ」
加賀美さんがくすっと笑う。
「むしろ俺にとっては好都合。今朝一緒に会社に来たとき、彼以外にも職場の人がまわりにいたよね。その人たちも千晶ちゃんには彼氏がいるって思ってくれていたら悪い虫もつかないだろうし」
「悪い虫?」
その意味がわからなくて、こてんと首を傾げる。