再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
私と目線を合わせるために高い背を屈めた加賀美さんが、私の耳元にそっと唇を寄せた。
「千晶ちゃんを狙う男を牽制できるだろ」
囁くような話し声と一緒に吐息がかかり、どきっと小さく心臓が跳ねる。
思わず体を引いてしまうと、加賀美さんの手が頭にぽんと乗った。そのままくしゃくしゃと少し乱暴なくらいに頭を撫でられる。
「上書き完了っ!」
にこっと満足げに微笑んだ彼の手が私の頭から離れていく。
上書きって?
撫でられてちょっと乱れてしまった髪を両手で整えながら加賀美さんを見つめた。
「帰ろうか」
すると今度はすっと指を絡めて手を繋がれる。
「加賀美さん⁉」
「また誰かにあとをつけられているかもしれないから。いつでも千晶ちゃんを守れるようにね」
繋いだ手を顔の前まで持ち上げて、にこっと口角を上げる加賀美さん。
やっぱり最近の加賀美さんはスキンシップが多くて、それに振り回されてはドキドキしてしまう。
改札を抜けてホームへと歩きながら、繋がれた手にふと視線が向かった。
やっぱり加賀美さんだと触られても大丈夫なんだ。
「どうしてだろう」
ぽつりとこぼれた私の声はホームにやってきた電車の音にかき消されて、加賀美さんにまでは届かなかった。