再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
過去とキス
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――高校一年生の春。
通学で利用する電車の中で男の人に体を触られた。
毎朝同じ時間の同じ車両に乗っていたのだけれど、ある日近くにいた四十代ぐらいの男性にスカートの上からお尻のあたりを撫でられた。
いわゆる痴漢というやつだ。
こわくて声が出せなくてじっと耐えた。
私が抵抗しなかったことに味をしめたのか次の日からも電車内で同じ男性に体を触られるようになった。
電車の時間や乗る車両を変えるとしばらくは行為がなくなるけど、また少しすると同じ男性がいつの間にか私の隣に立っていて体を触られる。
男は執拗に私を狙っているようだった。
痴漢被害にあっているなんて恥ずかしくて誰にも相談できなかったし、心配をかけたくなくて父にも黙っていた。
我慢していればいつかは終わると思って。
結局、同じ男性からの痴漢被害は一ヶ月続いた。
それがきっかけで私は男の人に触られるのがこわい。
肩が触れただけで体中に緊張が走り、嫌悪感で吐きそうになる。
それなのにどうして加賀美さんだけは大丈夫なんだろう――。