再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「――ちゃん。千晶ちゃん」
電車に揺られながら過去の被害を思い出していた。
名前を呼ばれていることに気付いて振り向くと、隣に座る加賀美さんに「大丈夫?」と声を掛けられる。
「さっきから心ここにあらずって感じだったけど」
「すみません、大丈夫です」
慌てて笑顔を作った。
今日は加賀美さんが会社まで迎えに来てくれたので一緒に彼のマンションに帰っている。
彼の家で暮らすようになって一週間が過ぎた。
時間が合えば朝は会社まで送ってもらうけど帰りはひとりが多い。それでも今日は加賀美さんの仕事が早く片付いたらしく会社まで迎えに来てくれた。
あれ以来、私のあとをつけていた男たちの姿は見ていないし、危険な目にも合っていない。
それでもいつまた同じようなことが起こるかわからないから、もうしばらくは自宅に帰らない方が安全だと加賀美さんに言われて彼の自宅で寝泊りを続けている。
でも、いつまでも加賀美さんのお世話になるわけにもいかないから、もうしばらく様子を見てなにも起こらなければ自宅に戻った方がいいのかもしれない。
というのも、私のせいで毎晩ソファで寝ている加賀美さんを早くベッドで寝かせてあげたいから。