再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
加賀美さんのマンションの最寄駅で降りた私たちは、カレーに必要な食材を調達するためスーパーに立ち寄った。
買った食材を詰め込んだ袋は当たり前のように加賀美さんが持ってくれた。
マンションの外観がもう見えているのでここから歩いて数分で着くだろう。表通りに面する人通りの多い歩道を曲がって脇道に入ったときだった。
加賀美さんがふと足を止める。
「さっきからこそこそと人のあとをつけてきて」
ぼそっと彼が呟いた声に、ぴくっと肩が跳ねた。
「つ、つけてきているって、もしかしてこの前の……」
気が付かなかった。いつからあとをつけられていたのだろう。
あれからなにも起こらなかったから油断していた。
全身に緊張が駆け巡り、思わず加賀美さんに体を寄せてしまう。けれど、そんな私を見つめる加賀美さんの表情はあの日ほど緊迫していない。
「こわがらせてごめん。今日のやつは心配ないから」
心配ない?
加賀美さんが振り返る。
私もおそるおそる後ろを向くけれど、そこに人の姿はない。
軽く溜息を吐いた加賀美さんが、街灯に照らされた夜道に向かって声をかけた。
「尾行するならもっとうまくやれ。バレてるぞ」
誰に話しかけているんだろう。
なにも返事がなかったけれど、しばらくして自動販売機の影からすっと人が現れた。
黒っぽいスーツを着た男性だ。