Twinkleな彼は、【完】
「樹、こっち!」
素早い判断なんてできない私は咄嗟に樹の手を握って、すぐ隣にあった扉をあける。
そこは小さな倉庫で、大学の備品らしき物がたくさん置かれていた。
倉庫には二人きり。ここならバレないよね。
「樹…ハグする?」
ここだと二人きりだし、樹が話せないなら私に出来るのはこれくらいしかない。
30秒ハグをするだけで一日の約3分の1のストレスを解消できるんだよ?
両手を広げて待つけど、まあいつも通り拒否されるだろうと思っていると。
「…うん、する」
え、本当に!?
思いもよらない回答に、混乱する暇もなく、ぎゅっと抱きしめられる。
「っ、」
ぐったりした様子で、私の肩に顔を埋める樹。
服越しに伝わる体温と、筋肉に胸が苦しく締め付けられる。
「…今日のレコーディング、ボロボロだった。」
久々あんな歌えなかった、と弱々しく呟く声に胸が疼く
頬を撫でる樹の髪がくすぐったい