【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
——夜伽って……高貴な方々の、《《性のお相手》》をするアレのこと………!?
ジルベルトと一糸まとわず身体を重ねる場面をいやでも想像してしまう。それは初心のマリアには、あまりに刺激が強すぎて——。
心身ともに固まって岩となったマリアは、爆風に煽られ頭から順に砕け散っていくという妄想にとらわれた。
「だが安心せよ。それはマリアを俺の寝所に寄越すための口実だ。命の恩人のマリアにそんなものは望んでいない」
「こ……口、実? ……は…ぁ」
粉で散ったら、今度は安堵と言う名の接着剤で固められて。開いた口をぱくぱくさせたまま、次の言葉が出てこない。
——まさかとは思いましたけど……とにかく、良かった……!
冷静になれば、鶏がらのように痩せたマリアの身体など味わうべくもない。
望むものは何だって手に入るであろうジルベルトが、わざわざ鶏がらを所望するはずがないのだ。
「そこでだ。『眠る前の話し相手』と称して、マリアが望む労働の代わりに俺の要求を聞き入れてくれないか?」
「はい、勿論です。私にできることなら、何なりと申し付けてくださいませ……!」
マリアは笑顔で応じる。夜伽をすることに比べれば、他の仕事など容易いものだ。