【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「……な、なるほど。農民たちの支持を得るために、王女の存在を帝国が利用する、と?」

 虚を突かれたようにフェリクスがフェルナンドを見遣るが、フェルナンドの翡翠の瞳は冷静そのものだ。

「殿下の策略を知っていたのか、フェルナンド?!」

 否定をしないところを見れば、フェルナンドは既に納得済みだったのだろう。フェリクスは及び腰だ。

「王女は殿下に親族全員を殺害されているのですよ?! 復讐心に駆られる事だってあり得る。もしも王女が、結婚を拒んだら……」

 ジルベルトが顔を上げることはない。
 薄青い瞳は冷徹な光を宿したまま——苛立ちを孕んだ声が、息を吐くように呟きながら低くなる。

「その時は、リュシエンヌ王女を殺すまでだ」




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