【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
けれどもマリアが寝てしまったのは窓際のソファだったはず。
きょろきょろと見回してみてもソファなどは見当たらず、今いる場所がソファのある部屋とは空間を隔てた、広々とした寝室である事を理解した。
「……ジルベルトは……?」
軽い晩酌のあとジルベルトの要求に応じ、膝枕をした。そのあとはソファで眠っていたのではないのか。
マリアが座っているのは、大きなベッドの左側。
ふと信じたくない心配が胸をよぎり——こわごわ視線を右側にやれば。
頭の下に敷かれていたものと同じ、ふわふわの枕がもう一つあって、その下のシーツに若干の乱れがある。
《《そこに誰かが》》横たわった痕跡だ。
「ひっ!」
思わず変な声が出てしまう。想像した心配ごとを、もう否定しようがなくなった。
昨夜——。
あのあとジルベルトが目を覚まし、ソファで眠ってしまったマリアを寝台まで運んだ。
そして自分も眠ったに違いない——何も知らずに眠っている、呑気なマリアの隣で。
「は、はこ……っっ」
———運、ばれた。それにジルベルトと……
「……一緒に、眠った……!?」