【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 二人のメイドはマリアの前に並ぶと、二人揃ってお辞儀をする。
 彼女たちにぶたれるのではないかと思うほどの(すさ)まじい気迫を感じていたので、マリアは拍子抜けしてしまう。

 二人のメイドが揃って顔を上げる所作はメイドと言えども美しく、流石は皇城内の宮殿に従事する者たちだと感心せざるをえない。
 ウェインでは王城勤めのメイドをしていたマリアだが、同じメイドでも彼女たちは数段『格』が違っている。

「はばかりながら申し上げます」
「はっ、はい……」

 マリアがお辞儀を返せば、

「お茶役を拝命したからっていい気にならないで! 居酒屋の下女だった者が、いったいどんな手を使って皇城に入り込んだのかしら?!」

「下女の汚れた手で、高潔なジルベルト様が(けが)されるなんて」
「貴族出身の私たちだって、一糸たりともふれられるお方ではないのに。下女ふぜいが穢らわしい……!」
< 145 / 580 >

この作品をシェア

pagetop