【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
二人のメイドはマリアの前に並ぶと、二人揃ってお辞儀をする。
彼女たちにぶたれるのではないかと思うほどの凄まじい気迫を感じていたので、マリアは拍子抜けしてしまう。
二人のメイドが揃って顔を上げる所作はメイドと言えども美しく、流石は皇城内の宮殿に従事する者たちだと感心せざるをえない。
ウェインでは王城勤めのメイドをしていたマリアだが、同じメイドでも彼女たちは数段『格』が違っている。
「はばかりながら申し上げます」
「はっ、はい……」
マリアがお辞儀を返せば、
「お茶役を拝命したからっていい気にならないで! 居酒屋の下女だった者が、いったいどんな手を使って皇城に入り込んだのかしら?!」
「下女の汚れた手で、高潔なジルベルト様が穢されるなんて」
「貴族出身の私たちだって、一糸たりともふれられるお方ではないのに。下女ふぜいが穢らわしい……!」