【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 
 遠慮や謙遜ではなく、心からの疑問を吐き出しながら眉をひそめるマリアに目を見張り、ラムダは呆れ声を吸い込んだ。

 ——驚くほどに《鈍感》ですわね?!


「恋心と憧れはよく似ています。マリア様はジルベルト様に、憧れのような気持ちを抱いてらっしゃるのではありませんか?」

 ——ジルベルト様とマリア様は、間違いなく《《両想い》》ですわ。少なくとも、お互いを大切に思っていらっしゃいます。

 マリアはアーモンド型の瞳をぱちくりとさせる。

「……あこ、がれ?」
「ええ。たとえ高貴な方にマリア様が憧れの気持ちを抱いても、それを(とが)める者はおりません。ですからマリア様は臆することなく、ジルベルト様に堂々と憧れていらっしゃればよろしいのです!」

「そ、そうでしょうか……」
「そうですとも!」

 虚を突かれたように固まっていたマリアだが、幾度か瞬きを繰り返したあと、ようやくこくんとうなづいた。
 頬をほわりと紅く染め、消え入りそうな声で言葉を紡ぐ。

「そう……ですね。私は、ジルベルト様に……憧れの気持ちを抱いているのだと思います」
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