【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「あなたたち、静粛に。はしたないですよ。リズロッテ王女、フィフィー侯爵令嬢に後宮での生活や決まり事を教えて差し上げなさい。後宮での生活の指導は、年長であるあなたに全て任せます」

「承知いたました。アルフォンス大公夫人」

 新入りの指導を任されるのは、夫人の確かな信頼を得ている事の証明でもある。周囲の羨望の眼差しのなか、リズロッテは得意気にふん、と鼻を膨らませた。

「フィフィー侯爵令嬢。何か質問があれば今のうちに。間も無くこのサロンに、皇太子殿下がお見えになられます」

 大公夫人の不意打ちに、令嬢たちが弾かれたようにはっと目を見開いた。誰もが「信じられない」といった表情(かお)をして、両隣に座る者たち同士で顔を見合わせている。

「……大公夫人、そのっ、ジルベルト殿下がお見えになるというのは……っ」
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