【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 リズロッテが代表して言葉を放つ。
 令嬢たちがみんな揃って豆鉄砲を食らったような顔をしているので、大公夫人が扇子で口元を隠し、目尻に皺を寄せてふっふ、と笑った。

「ええ、冗談ではありませんよ。本当ですとも。わたくしが呼んだのですから!」

 令嬢たちの顔がぱっと華やぎ、部屋中みるみる黄色い熱気で満たされていく。

 もっと素敵なドレスを着てくれば良かった!
 髪型は?! これではちょっと地味じゃないかしら?!
 今日はお化粧が薄かったかも!!

「大公夫人っ、有難うございます!」
「あなたがたも知っての通り、ジルベルト殿下はご多忙でいらっしゃいます。ご滞在は半時間ほどしかありません」

「ええっっ」

 途端、空気が落胆の色に変わる。
 黄色く舞い上がったり暗く沈んだり。若い女性たちの気合いは浮き沈みが激しいようだ。
< 200 / 580 >

この作品をシェア

pagetop