【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
ラムダは項垂れて、ふぅ、と息を吐ついた。
「明日は星祭りです。フェリクス公爵様に許可をいただいて、わたくしと一緒に帝都に出かけませんか? 気晴らしにもなりますし、皇城を去る決断をされるのはその後でも遅くないでしょう」
「星、祭り……まだまだ先だと思っていたのに、そう言えばもう明日なのですね」
「マリア様は以前から帝都に行ってみたいと仰っていたでしょう? 人生には限りがあるのです。今は悩まずに、目の前にある事を精一杯楽しみませんか!」
思えばマリアが皇城にやって来たちょうどひと月前から、星祭りのための飾り付けが始まったのだ。
辛かったこの五日間は永遠にも続くほどに長く感じられたのに……楽しく幸せな時間が経つのは本当にあっという間だった。
マリアの心は騒めいた。華やかな街の風情を耳にするたびに、帝都への憧れをひそやかに募らせていたのだから。
おまけにラムダは、その美しい街が年に一度の賑わいを見せる『星祭り』に出掛けようと言うのだ。