【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
さざなみ立つ、碧い瞳を見つめ返したマリアは。
遠慮がちだが、こくり、と小さくうなづいた。
「あなたのお気持ちが、とても嬉しいです……」
そして——とてもぎこちなかったけれど。
ジルベルトの想いに応えようと、涙がまだ渇ききらぬ頬を緩ませて、野辺に咲く花が揺れるように和やかな笑顔を見せた。
胸の奥底から幸せが込み上げてくる。
ジルベルトはたまらなくなって、その愛おしさをもう一度抱きしめてしまう。
マリアは目を閉じて、逞しい胸元に頬を預けた。
だが、しばらく経っても。
ジルベルトの腕は少しも力を緩めてくれないのだ。
「あの……?」
そろそろ、放してくれても良いと思うのだけど。
自分から離そうとした頭を、大きな手のひらでぐ、と胸板の上に押し付けられる。