【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 会ってみたい、顔が見てみたい。
 その下女がいったいどんな女で、どんな手を使ってあの無愛想極まりない皇太子を唆したのか。

 知りたい、そして糾弾すべきだ——その女の目的が、なんなのかを。

「アルフォンス夫人はわたくしの事情をご存知で、それをご支持くださっているのだもの……きっと、お力になってくださるわ」

「りっ……リズロッテ様?!」
 リズロッテのただならぬ気迫に、フィフィーはたじたじとなる。

「その下女と話がしてみたいわ。わたくし、アルフォンス公爵夫人にその下女との面会を願い出てみます……!」


 *


 後宮に続く本宮の回廊で、令嬢たちと話し込む侍従らを嗜めたあと。けたたましい声に思わず顔をしかめた。

「リズロッテさまぁ———っ!!」

 本宮に戻ろうとしたところを、皇太子の名を耳にしたフェルナンドは立ち止まり、回廊の柱の影に身を潜ませた。

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