【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「ちょいとお兄さん、なかなかの腕前だねぇ! 立派な剣なんか携えちゃって、騎士様か何か?! とにかくおめでと! そこの景品の中から何でも好きなの持ってって!」
木の弓を受け取りながら、女が小卓に置いた籠の中を指し示す。
「選んでいいよ、マリア。と言っても……たいしたものは無さそうだ」
籠の中から形の歪んだガラス玉をつまみ上げながら、ジルベルトが眉をひそめるも。
マリアはぱっと表情を明るくした。
「私が選ばせていただいても良いのですか?」
「ああ。勿論」
「有難うございます……!」
——つまらないガラクタを選び取るのにも、こんなにはしゃいでいる。このあとマリアをフェンリルの店に連れて行くのが楽しみだ。
籠の中に視線を彷徨わせていたマリアだが、《《あるもの》》に目を止めて、す、と手を伸ばした。