【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「今まで一人でよく頑張ったな」

 ジルベルトの腕がマリアを強く抱きしめる。
 希望という名の母親を失って、頼れる人もいなくて。
 独りきりで怖かった。

 ずっと誰かにそう言ってもらいたかった。

「約束した通り、これからは俺が力を尽くそう」
「……有難う、ございます」

 今はこのまま、優しい腕に身も心もゆだねていたい。


 ——お母様。
 幼き日の私に、愛を説いてくださったお母様。
 リュシエンヌは今日、この命よりも大切だと思えるものを見つけました。


 青紫色の幻想的な星空のなかで、幾千、幾万の星たちが二人を見守るように輝いている。

 時を同じくして。
 皇城では様々な思惑が渦巻いていた事に、ふたりはまだ気付いていない。

 かつてリュシエンヌ王女と呼ばれたマリアは、命がけの恋に堕ちていた。


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