【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「……あなた、また重くなったわね? 少し太ったんじゃない? 毎日美味しいご飯をいただいているのだもの、当然ね。かく言う私も、これでも少し太ったのよ?」
太った、と言うのは少し違うかもしれないと、我ながら可笑しくなる。帝都の街の衣装屋で痩せすぎだと言われてしまったのだ。
「お嬢様。ドレスをお召しになられる前に、しっかりとお食事をお摂りくださいまし。このままでは《《お胸がなさすぎて》》、コルセットがずり落ちてしまいますわ……!」
——コルセットがずり落ちるのは困る!!
「……そうなの。これは死活問題でしょう?! ジルベルトにも恥をかかせてしまうわよね」
……恥どころの話じゃないにゃ。
(これは、ジル猫の心の声)。
トントン——
このノックの音だけで、ラムダだとわかる。
「ラムダっ、あなたが来るのを待っていたわ……!」
扉を開けたラムダは、いつものお仕着せではなかった。
まるでよそ行きのようなワンピースを着ていて、ブルーヴァイオレッドの艶やかな髪を綺麗にまとめ上げ、大きな羽飾りのついたつばの広い帽子まで被っている。
「……マリア」
「あら、もしかして今日は休暇の日ですか? あなたはやはり貴族のご令嬢なのね……とても素敵だわ」
ラムダはふ、と小さく息を吐くと眉尻を下げた。
それでも、彼女の美しい面輪は和やかに微笑んでいる。
太った、と言うのは少し違うかもしれないと、我ながら可笑しくなる。帝都の街の衣装屋で痩せすぎだと言われてしまったのだ。
「お嬢様。ドレスをお召しになられる前に、しっかりとお食事をお摂りくださいまし。このままでは《《お胸がなさすぎて》》、コルセットがずり落ちてしまいますわ……!」
——コルセットがずり落ちるのは困る!!
「……そうなの。これは死活問題でしょう?! ジルベルトにも恥をかかせてしまうわよね」
……恥どころの話じゃないにゃ。
(これは、ジル猫の心の声)。
トントン——
このノックの音だけで、ラムダだとわかる。
「ラムダっ、あなたが来るのを待っていたわ……!」
扉を開けたラムダは、いつものお仕着せではなかった。
まるでよそ行きのようなワンピースを着ていて、ブルーヴァイオレッドの艶やかな髪を綺麗にまとめ上げ、大きな羽飾りのついたつばの広い帽子まで被っている。
「……マリア」
「あら、もしかして今日は休暇の日ですか? あなたはやはり貴族のご令嬢なのね……とても素敵だわ」
ラムダはふ、と小さく息を吐くと眉尻を下げた。
それでも、彼女の美しい面輪は和やかに微笑んでいる。