【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 耳元に掠れるほど小さな声で囁けば、腕の中でマリアが震えた。
 絡めとられた指先に、ぎゅっと力がこもる。

「そばにいて欲しい……許されるかぎり」
「私……も、……おそばにいたい、です」

 ——いつかあなたの手で、この命が絶たれるとしても。

 ジルベルトの口を不意に付いて出た言葉は——
「王女が君だったなら」。

 叶うはずもない願望を胸の奥底に閉じ込めながら、ジルベルトはマリアの柔らかな髪に鼻を埋め、目を閉じた。


「…………?」
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