【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 身の回りの事は自分でできても、ジルベルトの部屋にいる間のジル猫の世話は誰かに頼まなければいけない。

 失礼のない程度にベットメイキングを済ませ、髪をざっと整えると急いで自室に戻った。
 念のためにノックをしてみたものの、部屋の中からは何の物音も聞こえない。

 ガチャリと扉を開ければ、すぐ目の前に銀色の美しい子猫がマリアの帰りを待ち構えていたようにきちんと座っていた。

「ジル……! 遅くなってごめんね。そこで待っていてくれたの?」

 きっと扉の前で丸くなっていたのだろう。ノックの音を合図に起き上がったのか、マリアの姿を見つけると伸びあがり、大欠伸をしてみせた。

「一人きりで寂しかったわね。新しいメイドさんは? その様子じゃ、ご飯もまだみたいね……?」

「にゃ、にゃっ、にゃー」

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