【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
突然にノックの音がした。
マリアが返事をする間も与えずに、青白い顔をした若いメイドがずかずかと部屋に入ってくる。
——ちょうど良かった。そう言えば十時きっかりだわ。
皇宮にやって来たときはマリアもたいがい顔色が悪かったけれど、彼女の場合は不健康というよりもどこか雰囲気が冷たく、表情もぎすぎすしている。
「あなたが……ジルベルト様のお茶役の?」
「初めまして、マリアと申します」
丁寧にお辞儀をすれば、メイドはあからさまに眉を顰める。
マリアを頭のてっぺんから足の先まで舐めるように眺めて、へぇぇ……と小さく呟いた。
「わたくし、アーニャと申します。以後お見知り置きを」
「あの……アーニャさん。早速で申し訳ないのですが、この子にご飯をあげたいのです。獅子宮殿の厨房でご用意くださっているはずなのですが、私は厨房に入ることをお許しいただいていないので、取りに行くのをお願いできますか?」
マリアが返事をする間も与えずに、青白い顔をした若いメイドがずかずかと部屋に入ってくる。
——ちょうど良かった。そう言えば十時きっかりだわ。
皇宮にやって来たときはマリアもたいがい顔色が悪かったけれど、彼女の場合は不健康というよりもどこか雰囲気が冷たく、表情もぎすぎすしている。
「あなたが……ジルベルト様のお茶役の?」
「初めまして、マリアと申します」
丁寧にお辞儀をすれば、メイドはあからさまに眉を顰める。
マリアを頭のてっぺんから足の先まで舐めるように眺めて、へぇぇ……と小さく呟いた。
「わたくし、アーニャと申します。以後お見知り置きを」
「あの……アーニャさん。早速で申し訳ないのですが、この子にご飯をあげたいのです。獅子宮殿の厨房でご用意くださっているはずなのですが、私は厨房に入ることをお許しいただいていないので、取りに行くのをお願いできますか?」