【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
親指の先ほどの大きさの赤い印影—— 頭に冠を載せた大鷲が翼を広げ、国旗のようなものを足に携えている。
「あのっ、アーニャさん、これは……?! この……鷲の形をした印影です」
「皇太子殿下の《《王印》》ですけど。それが何か?」
「皇太子殿下の、王印……?」
マリアは何かを思い出したように目を泳がせる。アーニャの視線は相変わらずマリアを侮蔑するかのように冷たい。
「その王印というものは、幾つもあるものなのでしょうか?」
「いいえ、この世にただ一つだけです」
「本当に……? だって、たった一つだけだなんて……」
「幾つもあっては困ります、偽物が作られてしまいますから。良からぬ者の手に渡れば帝国の治世をも揺るがしかねない。由々しき事態をも招きかねない大切なお品です。なので、常日頃から皇太子殿下が肌身離さず持っていらっしゃるはずですが……それがどうかしまして? そんな事よりも、それ。さっさと拾ってくださる?」
「あのっ、アーニャさん、これは……?! この……鷲の形をした印影です」
「皇太子殿下の《《王印》》ですけど。それが何か?」
「皇太子殿下の、王印……?」
マリアは何かを思い出したように目を泳がせる。アーニャの視線は相変わらずマリアを侮蔑するかのように冷たい。
「その王印というものは、幾つもあるものなのでしょうか?」
「いいえ、この世にただ一つだけです」
「本当に……? だって、たった一つだけだなんて……」
「幾つもあっては困ります、偽物が作られてしまいますから。良からぬ者の手に渡れば帝国の治世をも揺るがしかねない。由々しき事態をも招きかねない大切なお品です。なので、常日頃から皇太子殿下が肌身離さず持っていらっしゃるはずですが……それがどうかしまして? そんな事よりも、それ。さっさと拾ってくださる?」