【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 編みぐるみを持ち上げて胸の前にあてると、ジルベルトと過ごした祭りでの時間が思い出され、胸がぎゅ、と苦しくなった。

「にゃー?」
(そいつは誰にゃ? 僕のおもちゃにして、こてんぱんにしてやるにゃ)

 編みぐるみは、鏡台の上の目につくところに飾っておく事にした。
 いつでもあの幸せな一日を思い出すことができるから……。

 星祭りの夜、ジルベルトに渡されたメレンゲのような白い小箱を取り出して、丸みを帯びた蓋をそっと開く。
 箱の中はもう何度も眺めたけれど、今朝は意を決してきらきら光る鍵を手に取り、鍵に繋がる華奢なチェーンを首から下げた。

「これはジルベルトから預かった、大切なお守りよ……ジル」
< 349 / 580 >

この作品をシェア

pagetop