【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 ——なにか思惑があって、女が素性を隠したまま皇太子に近付いたとすれば……大変なことよ……っ。

「まさか、皇太子殿下への復讐……?!」

 恐ろしい想像とともに暴走しそうになる心を必死で落ち着かせた。まずは冷静にならなければ——それに、あの女は本当にリュシエンヌ王女なのだろうか。

 リズロッテは咄嗟に覚悟を決めた。
 鉄格子越しに女を眺め、大きく息をすう。

「リュシエンヌ!」

 噴水の水音にかき消されぬように、自分でも随分と大きな声を出したと思う。

 女が——虚を突かれた顔をしてリズロッテのほうを見た。
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