【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 式典準備の慌ただしさでうっかりしたのだろう。
 今朝もジルの朝ごはんが届かず、仕方なく部屋の前を通りがかったメイドに催促をした。

 一時間ほどが経ち、ジルのご飯を引っ提げて部屋の扉を叩いたのはアーニャだったが……。
 マリアに仕事の落ち度を指摘されたとでも思ったのだろうか。
 すこぶる機嫌の悪いアーニャは吐き捨てるように、去り際にこんな事を言った。

『ジルベルト様のご婚約が正式に決まれば、このお部屋は婚約者のガルヴァリエ公爵令嬢に明け渡してもらうことになります。壁一枚、家具一つたりとも、その猫に爪を立てられないよう気を付けてくださいませ!』
< 377 / 580 >

この作品をシェア

pagetop