【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 慌てて飛び起きそうになる。
 聡明で明るく、弱気なマリアをいつでも励ましてくれたラムダが、マリアを叱咤激励をする時の力強い声だ。

「……ラムダっ」

 忘れたわけじゃない。
 ラムダと約束をした。もっと強くなると。
 ラムダならきっと、欲しいものは欲しい、誰にも譲れないと強く訴えて手に入れようとするだろう。
 
「今頃、あなたはどうしている? 好きな絵を思い切り描いているでしょうね」

 ——本当は、私もラムダのように生きてみたい。
 強くなって再会するというラムダとの約束だって果たしたい。
 私にまだ、その時間と機会が与えられるのなら……

 そんな事を想い願ううちに、マリアはいつの間にかまどろみの海の底に落ちて行くのだった。
 

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