【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「世継ぎはどうする? 側室はそもそも正妃の第二腹(スペア)でしかないのだ。公爵令嬢を皇太子のお飾りの妻に据えるなど、愛娘至上主義のガルヴァリエ公爵が許すまい」

「スペアとか、その考え方。仕方ないけど僕は嫌気がさすね」

「それに公爵令嬢が殿下に愛情が無いって、なんでわかるんだ?」
「え?! うそだろ、見ててわかんなかったの?!」

「ああ、全然わからん」

(ったく、どこの恋愛オンチだよ。そりゃあ繊細な殿下の想いなんぞ汲み取れんわな……!)
 《フェリクスがさも呆れた様子でこっそりと呟く。》


 《アスガルド皇帝の側妃であったジルベルトの母親は、正妃へと向けられる夫の寵愛を求め続け、幼き日のジルベルトに寂しさを訴えながら精神を病んで自ら命を絶った。
 そんな過去に想いを馳せながら、ジルベルトはグラスを傾ける。》


「フェリクス、俺は。母を失った時に固く決めたんだ。妻にする者は生涯ただ一人だけだと。だから側室は要らぬ」
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