【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 とうとう言ってしまった!
 はずかしさに耐えられなくなって、俯いて目をつむる。

 ——勇気を出した自分の行動を悔やむくらいなら、いっそ嫌われた方がいい……! 
 
 返事も聞かぬまま、ぎゅ、と目を瞑ったままで。
 がば! と音が立ちそうなほどの強引さで、大きく広げた両腕をジルベルトの腰元に絡ませる。

 引き締まった胸板に頬を寄せれば、規則正しく力強い鼓動が耳にふれた。
 幾夜添い寝をしても、決して慣れることのない鼓動と胸のあたたかさが、頬を通して伝わってくる。

 いつ突き放されても構わぬと、その覚悟はできていた。
 だが今は殊更に、このわずかな「間」が怖かった。

 一瞬が永遠にも、刹那にも感じられる。ジルベルトはさぞ驚いたろう。
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